TOP > トピックス > かつて活躍していた ホームライナー太多って?
混雑する朝夜のラッシュ時。そのラッシュ時に乗車整理券を購入することで、着席が保証される列車として人気の『ホームライナー』。
現在は東海道本線や中央本線の一部区間で運転されていますが、かつては太多線でも、ホームライナーが運転されていました!
その名も・・・『ホームライナー太多』。 美濃太田駅から多治見駅を経て、中央本線を経由し、名古屋駅まで1往復運転されていました。
今回は、その『ホームライナー太多』を特集してみたいと思います。
【1】 使用車両、運行形態など
【2】 走り始めたのは・・・?
【3】 運行時間帯の変遷 【平日上り・名古屋方面】
【4】 運行時間帯の変遷 【土曜上り・名古屋方面】
【5】 運行時間帯の変遷 【下り・美濃太田方面】
【6】 ホームライナー太多 Q&A
【7】 まとめ
◆ 使用車両、運行形態など
『ホームライナー太多』で使用されていた車両は、キハ85形。 言わずと知れたJR東海が誇る特急型気動車です。 太多線にキハ85形が決まった時間帯でやって来るのは、 このホームライナー関連の運行時のみで、現在は太多線内に キハ85形がやって来ることはありません。 (※東海道本線や高山本線の大規模な運行トラブルの際に 特急ひだ号が迂回してやって来ることがある・・・らしいですが。) ------------------------------------- 運行は・・・ 上り(名古屋方面)と下り(美濃太田方面)が1本ずつ。 このうち、上りは平日と土曜日。下りは平日のみ運転されていました。 |
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ホームライナー太多 停車駅 (2011年時点)
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そして、停車駅は左の図の通り。 太多線内は各駅に停車していましたが、列車が4両以上の場合、 途中駅ではホームの有効長の関係から、ドアカットが行われていました。 一方、中央本線内は上りと下りで停車駅が異なっていました。 上り(名古屋方面)は多治見を出ると大曽根までノンストップで運転、 一方の下り(美濃太田方面)は大曽根の次は高蔵寺に停車した後、 太多線内に入っていました。 (高蔵寺は下りのみの停車でした。) ※ この停車駅は廃止直前(2011年度)のものであり、 運行開始当初は、下りも高蔵寺を通過していました。 |
◆ 走り始めたのは・・・?
太多線内唯一の優等列車『ホームライナー太多』が走り始めたのは、JR東海になってからの平成2年(1990年)のダイヤ改正からでした。
それまでの太多線はこのホームライナーに準ずるものも含め、優等列車は無く、全て各駅停車の普通列車のみの運行でした。
上り(名古屋方面)は、朝7時台に美濃太田を出発し、太多線内の通勤客を名古屋市内へ運ぶ列車として、22年に亘り活躍してきました。
運行開始年(1990年)のダイヤは・・・(残念ながら)今のところ、資料が見つからず確認が出来ませんが・・・
2年が経過した1992年(平成4年)のダイヤから、(一部の年にはなりますが・・・)平日の時刻の変遷を見ていきたいと思います。
【1992年3月改正版 ホームライナー太多2号(平日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は70分 (多治見から名古屋は41分)。 当時は同時間帯の快速列車は1本しかなく、普通列車よりも所要時間も短く、着席保証に加え、名古屋方面への速達列車でもありました。 |
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【1999年12月改正版 ホームライナー太多2号(平日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は76分 (多治見から名古屋は39分)。 1992年当時より中央本線内では快速列車が増発され、次第にホームライナーも快速より所要時間がかかるようになってしまいました。 多治見駅の発車時刻は7:48ですが、実はこの2分前に名古屋行きの快速列車が発車。名古屋へはその快速列車が4分早く着くダイヤでした。 |
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【2001年3月改正版 ホームライナー太多2号(平日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は79分 (多治見から名古屋は42分)。 太多線内は同一時刻に維持された一方、余裕時分を持たせた?からか、中央本線内の所要時間は更に増える形となっていました。 |
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【2008年3月改正版 ホームライナー太多2号(平日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は85分 (多治見から名古屋は44分)。 キハ85形だから85分・・・なんてことはないでしょうけど() 美濃太田駅をはじめ、太多線内各駅とも発車時刻が繰り上げられた一方、名古屋駅への到着時刻は繰り下げ。 多治見駅では2番線に入線することからか、多治見駅到着直前に減速・小刻みな停止を繰り返してたことを思い出しました...。 |
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【2011年3月改正版 ホームライナー太多2号(平日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は85分 (多治見から名古屋は44分)。 2008年時点の時刻が結果的に最後のダイヤとなりました。 約20年前の運行開始当初より全体の所要時間を15分増やす形に。後期は快速に遠慮する?ダイヤでした。 |
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◆ 運行時間帯の変遷 【土曜上り・名古屋方面】
ホームライナー太多は、土曜日にも運転されていました。続いてはその土曜日のダイヤの変遷を見ていきます。
【1992年3月改正版 ホームライナー太多2号(土曜日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は70分 (多治見から名古屋は41分)。 この当時、土曜日も『2号』として運転されており、平日と同一の運転時刻で運転されていました。 |
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【1999年3月改正版 ホームライナー太多2号(土曜日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は71分 (多治見から名古屋は37分)。 平日より全体の所要時間に差が出ており、土曜日のほうが5分短く設定されていました。 |
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【2001年3月改正版 ホームライナー太多2号(土曜日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は73分 (多治見から名古屋は39分)。 中央本線内の所要時間が前年比2分増ですが、全体の所要時間は同年の平日より6分短くなっていました。 |
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【2008年3月改正版 ホームライナー太多32号(土曜日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は77分 (多治見から名古屋は39分)。この時点から『32号』として運転。 太多線内はじめ全体の時刻の繰り上げがありましたが、金山・名古屋へは2001年当時より1分早く到着していました。 ちなみに同年の平日に比べ、全体の所要時間は8分短くなっています。 |
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【2011年3月改正版 ホームライナー太多32号(土曜日) 運行時刻表】
美濃太田から名古屋までの所要時間は78分 (多治見から名古屋は40分)。 美濃太田駅の発車時刻が更に繰り上げられた一方、名古屋駅への到着時刻はそのままで所要時間が増えていました。 同年の平日との所要時間差は7分。最末期は平日・土曜日ともに始発、終着時刻が異なる形になっていました。 |
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◆ 運行時間帯の変遷 【下り・美濃太田方面】
続いては、下り(美濃太田方面)。先述の通り、当初は高蔵寺を通過していた他、運行していた時間帯も変動がありました。
それらも含め、1992年からの変遷を見ていきましょう。
【1992年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は65分 (名古屋から多治見は37分)。 21時前後の時間に運行されており、現行(2020年)のホームライナー中津川1号に近い時間帯での運行でした。 また、太多線内は現行(2020年)の669C列車(多治見21:32発 美濃太田行)に近い時間帯での運行になっていました。 |
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【1999年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は63分 (名古屋から多治見は31分)。 発車時刻が繰り下げられたと同時に、全体の所要時間も短縮されました。 また、太多線内は現行(2020年)の671C列車(多治見21:49発 岐阜行)に近い時間帯での運行になっていました。 |
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【2001年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は62分 (名古屋から多治見は31分)。 三度、名古屋への発車時刻が20分繰り下げられ、全体の所要時間も更に短縮されました。 |
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【2003年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は61分 (名古屋から多治見は31分)。 2001年当時とほぼ同等の時間でしたが、美濃太田に1分早着。恐らく所要時間最短ではないでしょうか・・・? |
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【2008年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は63分 (名古屋から多治見は33分)。 運転時刻が大幅に繰り下げられ、名古屋駅発車は22時台後半。太多線内では(当時の)最終1本前の列車でした。 また、この時から高蔵寺にも停車。考えてみると、停車していたのは末期の数年のみだったんですね・・・。 |
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【2011年3月改正版 ホームライナー太多1号 運行時刻表】
名古屋から美濃太田までの所要時間は62分 (名古屋から多治見は32分)。 最末期は2008年より多治見より先で1分繰り上がったのみでした。 |
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◆ ホームライナー太多 Q&A
太多線内の有人駅 (美濃太田・可児・根本・小泉・多治見)で購入できました。
美濃太田駅、可児駅、多治見駅では駅の券売機で購入でき、券売機のない根本駅と小泉駅では、みどりの窓口による紙の乗車整理券を購入する形でした。
ちなみに、根本駅・小泉駅での紙の乗車整理券は、発売する座席が事前に割り振られており、その座席を係員が色鉛筆で記入するアナログなものでした。
乗車整理券が発売できなかった無人駅 (美濃川合・下切・姫)では、事前に各駅からの座席が割り振られており、駅からは整理券を持たない状態で乗車。
その後、車掌の案内により割り振られた座席に着席するというものでした・・・。
朝の上り(名古屋方面)は、現在も多治見駅始発のホームライナー多治見が2本、瑞浪駅始発のホームライナー瑞浪が1本運行されています。
また、夕方~夜の下り(多治見方面)は、瑞浪行きのホームライナー瑞浪が3本、中津川行きのホームライナー中津川が2本、1時間間隔で運行されています。
ちなみに運行される車両も383系(夕方の瑞浪行きのみ313系8000番台)となり、キハ85形使用のホームライナーは、中央本線を含め、完全に消滅してしまいました。
◆ まとめ
『ホームライナー太多』は、22年の間に停車駅や所要時間を変えながら運転され続けていましたが、現在はその代わりとなる優等列車はなく、太多線内はホームライナー設定以前と同様に、全列車が各駅停車の普通列車のみが運転される路線となりました。
朝の名古屋への直通列車が無くなったのは残念ですが、ホームライナーに代わって増発された普通列車のお陰で本数削減は免れたので、通勤客のニーズにはどうにか(?)応えられているのではないでしょうか。 (※ちなみに平日夜に関しては、ホームライナーのスジを引き継ぐ列車は設定されず今日に至ります)
次、太多線にキハ85形がやって来る日は・・・あるのでしょうか? いつになるかは分かりませんが、その日を密かに心待ちにしたいと思います。
ホームライナー太多は、太多線唯一の華形列車とも言える列車だっただけに、廃止になったのはすごく悲しかったですが・・・運用上など様々な都合を考えると、やはり致し方ないのかなぁと・・・今は思います。 ともあれ、太多線にホームライナーが走っていた事実を、知っている人が語り継いでいければ・・・とも思います。